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10/15:ダニーボイル’sイエスタデイ(ネタバレ)

いつぞやも話をしたかも知れないけども、ボクがいた美学科は史学がくっついていて、「美学美術史学科」だった。これには意味があって、美学の歴史と言うのはただの史学ではなく「哲学史」だから、と言うことなんだけども。その大前提になってるのが…

 

「この世界には絶対的な美というものが存在する」

 

という考え方だ。絶対的な美というのが人の世には存在する。それは、ファッションのように移り変わっていくものではなく、いつの時代でも変わらずそこに存在している…これを信じてないと美学史というのはただの史学になってしまう。しかしながら、学部で学ぶ生徒、教授ですら、本当にそういうものがあるかどうか、証明できない。

 

学部の先輩とそういう話になった時に、絶対的な美というものがあるのであれば、たとえば2019年においてレオナルドダヴィンチが初めて現れて「モナリザ」を描いてもルーブルに飾られるはずという話になった。なんだか、それはないような気がする。

 

ダヴィンチほどの才能であれば、現代でも成功する可能性はある。でもそれはモナリザではないだろう。そうなるとやはり、美というのはコンテキスト(文脈)であるという、いいものが必ずしも売れる訳じゃない…残念な結末になってしまう。

 

こういうマクラを踏まえて…。

 

 

ダニーボイルの新作映画「イエスタデイ」を見に行った。

あのポップミュージック満載の見事なロンドンオリンピックの開会式を監督したダニーボイルがビートルズの話をやる。これに期待しない人がおるかね。

 

主人公だけがビートルズを知ってる世界。この映画の筋を聞いて、似たような設定だったマンガ「ボクはビートルズ」を思い出してしまうんけど、あれとこっちは違う。マンガの方は過去にタイムスリップしてる。だからビートルズがブレイクした同じ文脈な訳。だから同じ音楽をやっても成功するかも知れない感じがあった。でも、こちらは現在の状況のまま、ビートルズだけがいなくなる。この設定も厳密に考えると色々ややこしいんだけど、大ざっぱに考えても、ビートルズの音楽が今登場しても古くさいだけじゃないかと。実際80年代のビートルズの立場とかダサイことこの上なかった訳だし。

 

そういう事を思いながら、映画を見た。

感想。

 

 

エドシーラン出過ぎ。

 

 

やっぱりビートルズの曲は受けない訳。最初は。でも、この映画はそこでウルトラCを使っていて、エドシーランだけがいち早く曲の価値に気づいて、前座で使ってくれる。それがきっかけでみんなが耳を傾けてくれるようになる。これはなるほど、と思った。でも、それだけでいいのに、シーラン君ずーっと出ておるのよ!

 

この映画はビートルズだけじゃなくって、主人公の恋愛話も結構ウェイトが重くて、ビートルズの尺とラブストーリーの尺が終始ケンカしてる。そこにさらにエドシーランが出てくるとなると、全部がちょい中途半端な尺になってしまっていた。

 

そもそも、主人公のインド人青年(ラトルズのスティッグじゃないよ)は、ビートルズを自作の曲と偽ってプレイすることに終始罪悪感を感じていて、ビートルズの曲が流れることに爽快感がない。あのね、やると決めたなら、思い切ってやって!これはこの映画の相当なマイナス部分。なんならラブストーリーの比重の方が大きくて、もう最後まで言ってしまうけど、主人公君は彼女への愛のために結局アメリカに行くところぐらいでビートルズのフリから降りてしまう。ビートルズが邪魔者なのよ。

 

見てる側としては、「現代でビートルズはどこまで通用するか?」というのも、すごい楽しみな訳じゃないっすか。それがエドシーランをヘコましただけで終わりなの?という感じ。ビートルズファンはエドシーランなんて勝って当たり前ぐらいに思ってるからね、こんなもの大してうれしくない訳だよ。これだけラブに重点おくならば、イエスタデイだけ覚えてる、ぐらいで丁度よかったかも知れない。世界とか狙わなくても。

 

「ロングアンドワインディングロード」を歌うシーンなんかは、マジでいつの時代でも通用するかも…絶対的な美があるのかも!という曲の美しさを感じたので(withビートルズファンの色メガネ)、ここをもうちょっと見たかったというのが正直なところ。

 

まあとはいえ、そんな大予算の映画じゃないから、そういう意味では面白いところは結構あったので、全体としては満足。

 

 

特に印象深かったところ↓

ロバートカーライルの老人ジョン!これはマジ本人と見まがう姿と貫禄。このシーンだけで十分感動した。

wakakitamiki * 映画 * 23:59 * - * - * pookmark
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